パズルのような自閉症スペクトラム4〜アメリカ、ワシントン州での治療

September 24, 2014  Written by Mineko Takada-Dill

普通自閉症スペクトルムの診断をしてもらうには、長いウエイト・リストがあります。出来るだけ早期発見治療が必要な自閉症スペクトロムの診断自体に時間がかかってしまうのは残念なことですが、治療自体は自主的に始められます。自閉症の治療は学校と大きなつながりがあります。自閉症に基づいた障がいが、人との綱がりの困難さに発するものであり、自閉症の治療のゴールが将来的に社会の一員としてさまざまなレベルで参加していくことであるからだと思います。

まず、子供さんの年齢によって違うのですが、3歳まではBirth to Three と呼ばれる幼児の治療センターに連絡してみましょう。診断名がなくとも発達の遅れの懸念がある場合、センターで検査をしてそれに基づいた治療が始められます。子供のニーズによってクラス形式のものから、スピーチや作業療法、理学療法などの治療を無料で提供してくれます。私の知っている限りでは有料のサービスもあるようです。

子供が3歳以上の場合は学校区の特別支援教育部に連絡する必要があります。同じように’無料のテストと子供のニーズにあったプログラム(IEP)を作ってくれます。残念ながら、学校区で受けられるサービスがすんなりと行かないことがあります。これはまた他のブログで述べるようにします。

Birth to Three や学校区のテストで支援の必要がないと判断されても、自閉症スペクトルムの診断が下りれば学校からの支援を受けられたケースもあります。これは、IQが高く、表面的には人付き合いがちょっと苦手な子供によく見られます。それ以外に日本語が第1言語だと英語でのテストが難しいことが原因であることもあります。

学校外での治療の選択

自閉症の治療は数えられないほどあります。どの方法も100パーセント効果があるといった決め手がありません。しかも、Evidenced Basedと呼ばれるリサーチがされて効果がある治療法でも個人によっては結果が思わしくないこともあります。最近の調査では約10から15パーセントの自閉症の子供たちが成人した頃に診断名を失うとの結果がでています。診断名を失うというのは、自閉症の傾向は残っていても診断が下りるほどの症状が無くなったという意味なようです。残念ながら80から90パーセントの人は成人しても自閉症の診断が残るとの認識も必要です。いづれにしても、どの治療法もセラピーの効果時間、費用、安全性を考慮する必要性もあります。以下は私の個人的な意見です。

1.行動をサポートするためのセラピーーこれは本人の行動の変化と大人が子供の行動をうまく誘導できる術を身につけるという意味です。ABAといった週何十時間ものセラピーで子供の問題行動を修正し、欠けている能力を教えていくというものから、親によるABAであるPivotal Response Treatmentや子供の特性を把握して絵によるスケジュールの立替など色々なレベルでのセラピーがあります。カウンセリングで行う行動療法は自閉症の合併症である、うつ病と不安症にきくとの調査結果が出ています。私の経験ではどの方法でも『どのような行動がその場で要求されているのかをハッキリさせる』『それが出来た時に褒めたり、ご褒美を上げる、自分でうまく行った時を自覚し喜ぶ』ことが基本になっていると思います。ソーシャルスキルのグループはその場で学んだことを応用するのが苦手な子供にとっては、学んだことを家庭や学校で利用していく必要性があるようです。

2. 体が健康になるためのセラピー―どの方法も検査をして体のどの部分がうまく働いているかとの検査に基づいての治療が良いと思います。言語力に欠ける子供たちはどこが痛いとか、調子が悪いとかを説明するのが苦手です。MDか自然療法のお医者さんのNDに相談してみてください。自閉症のある子供は食事の偏りがあることが多々ありますが、栄養のバランスは取れていますか?食事療法は栄養と、口の能力や行動療法の三本線でのアプローチが必要です。グルテン(小麦、大麦などに入っています)カセイン(乳製品)は腸の働きを促すための食事療法です。この方法は基盤になる大学が研究していないことも手伝って、個人個人のケース以外に効果を証明できないのが現状です。体のバランスや臓器の関連性を考える場合西洋医学と東洋医学の考え方の違いが反映するものでもあります。BioMedical はMDに相談しても取り合ってくれないことをよく耳にします。多額な費用がかかりますがNDによって体に必要だけれも不足しているものを見つけてそれを補う形が多いようです。科学的には自閉症の原因ではないと証明された(未だに色々な説があって本当に証明されたのかは分かっていない)予防接種などを、体に優しい形で摂取してくれる、NDもいます。東洋系では体のバランスを取ってくれる鍼治療なども考えられます。効果があるとの研究結果のある治療の中にマッサージが入っています。

3.スピーチと作業療法(OT)―自閉症の診断が下りると、多くの人が受ける治療法です。学校で、必要とされた場合引き抜いたり、クラス内でのスピーチ・セラピーを受けることが出来ますが、社会性、ソーシャルの問題をスピーチの一部として学校でやってくれる場合と、やってくれない場合もあります。それは学校区やセラピストの考え方も影響するようです。学校の作業療法で行う治療は基本的にハンドライティングなどの学習に必要なトレーニングで、感覚統合(Sensory Integration)の治療は法律的に保障されていません。スピーチや作業療法は子供に必要であれば自閉症の子供との経験があり、個々のニーズを理解し、子供の行動をサポートしていく能力を持ち合わせているセラピストを見つけてください。ただ、子供が反応するかどうかによって、必要性を考察していく必要があると思います。感覚統合の治療は前述のEvidenced Baseではないようです。

 4. 子供の好きなクラスやセラピー、将来に役立つこと―多くの自閉症のある子供たちの治療は出来ないことを出来るようにすることが基本です。その一方で自閉症のある子供たちはそれぞれ、大好きなことが必ずあります。大好きなことでもそれだけに集中しがちであったり、同じことを繰り返し行ってパターン化しがちですが、行動療法との組み合わせで、本人が好きなことを伸ばしてあげてください。私のやっているアートセラピーは行動療法の核に子供の興味をもったアートを伸ばし、ビジュアルでのコミュニケーションをしてていくものです。どんな興味であっても個々の興味が将来の進む道や仕事につながっていくはずです。