パズルのような自閉症スペクトルム−3〜渡米

September 23, 2014     Written by Mineko Takada-Dill

日本から渡米される場合ー私自身は日本の自閉症診断の場に居合わせたことがないのですが、日本から来られてアメリカのシステムで子供さんの養育を交渉する時期にお手伝いをさせていただいた方などのお話や発達障がいサポートの会NIKOのメンバーの方のお話を聞いていると、アメリカ(シアトル地区)と日本との大きな違いを感じます。アメリカでは自閉症は連邦政府の法律の、学校で受けれるサポートの1カテゴリーで、自閉症の診断が下りている場合学校で受けられるサービスを要請しやすいのですが、日本では将来のことを考えてはっきりと診断をしてほしくないといった家族の方の気持ちの反映もあって、自閉症が発達障害と診断され、書類などもなくても、学校で色々なサービスを受けておられたりします。アメリカ側はいったい診断名は何なのか、アメリカのIEP(各個人の教育プログラム)にあたる、日本の学校で受けたサービスの書類はないのかと質問してきたりします。

特に知的障がいがなく、クラスで先生の手もかからない、言葉の遅れも少ないけれども、友達と良い関係を持つのが苦手な自閉症的な子供さん(昔のアスペルガー症)の場合、アメリカの学校でのサポートの申請が困難になることもあります。日本語での社会性能力が欠けていても、『まだ英語がしゃべれないからかもしれない』といった理由で学校での検査もしてくれないこともあります。これは、アメリカ育ちでも日本人の家庭に育って日本語が第1言語の場合も当てはまります。

診断書や、日本での特別支援教育を明記した書類がないと、日本で先生がお友達との交流のお手伝いをしてくださっていたのが、アメリカに来ると先生と会議を持って、法的にそういったサービスを保証した形にしないと、サービスが保証されないことになったりします。良心的な学校区や学校を除くと、はっきりとした診断名と障がいの詳細(病院や発達障害協会等の診断書)、学校で受けていたサービスの詳細を英語で記した書類の提出が必要です。また、どの学年レベルで渡米するか(小学校、中学校、高校レベル)によって、アメリカの受け入れ態勢が違ってきます。

アメリカは州によって法律も違いますので、ここに書いたことはあくまでもシアトル周辺の事情です。

アメリカでの診断については、ブログ2を参照ください