自閉症の方が増えだした1994年ごろ、アメリカの小学校で仕事をしていました。1994年に発行されたDSM-IVという精神科の診断マニュアルに、広帆性発達障害といったカテゴリーの下に、自閉症、アスペルガー症、PDD-NOSなどの診断名が付け加えられました。メンタルヘルスの仕事をしているものや、学校の先生にとって、知的障害のある自閉症の子供はまだしも、広帆性発達障害がいったい何かよく分からない時期でもありました。

その頃は、ADHDの診断のでた子供が増加し、行動に問題のある子供の特別支援教室に、じりじりとアスペルガー症やPDD-NOSの診断名のある、あるいはそれらしき子供たちが来る様になりました。1994年発行のマニュアルが病院やクリニックで使い始められ、今まで名前がなかったものに診断名がつけられるようになったのが自閉症の増加につながっているとの理由づけもあります。それまでにも学校には、自閉症の子供たちのクラスはあったのですが、かなりの率で重い知的障害があル子供たちのクラスです。2000年ぐらいまでにそれとは別に行動の特別支援教室に明らかに自閉症スペクトルムのある子供たちが通学するようになりました。

アメリカの学校で支援を受ける場合、子供の障がいによって、連邦政府の法律のIDEA (Individuals with Disabilities Education Act)で決められたカテゴリーがあるのですが、自閉症がそのリストに加えられたのは1990年で、特別支援教室では、これからのサポートを増やすためにも保護者の方に子供さんの大学病院などでの診断を進めたりしていました。その頃は小児科のお医者さんも広帆性発達障害のことを知らずに簡単に『様子を見てみましょう』などといってしまったものです。今は生後18ヶ月検診で自閉症のスクリーンをするようになりましたが、それでも勉強をしていない小児科の先生もいます。もし子供さんが自閉症の傾向があると思う場合、小児科の先生の診断ではなく、すぐ専門の機関に推薦してもらうようにお願いしましょう。2013年のマニュアル改正で、アスペルガー症やPDD-NOSは消去されました。

ワシントン州で自閉症の診断が出せるのは、psychiatrists(精神科のお医者さん), neurologists(脳神経科), 自閉症の検査のトレーニングを受けたpsychologists (心理学)Developmental pediatricians(小児発達)の専門家のみとされています。

検査方法としては、血液検査やMRIなどを使っての脳の検査はありません。あくまでも、子供の行動に基づいての検査です。子供の社会性や行動のパターンの遊びを踏まえての観察をするADOS、保護者のインタビューによる、子供の発達歴を記録するADI-R、認知力、IQを調べるWISC-IV、生活力、サポートの必要性を調べる VABS-IIなどの標準化されたテストを通しての診断が薦められます。

それ以外にも、Speech Pathologists(言語の発達) とOccupational Therapists(手先の作業力や感覚統合の問題)による検査もしてくれる機関もあります。

英語が出来ない、得意でない場合病院の場合通訳をつけてくれます。それでも、英語力の問題ではっきりとした診断が下りないこともあります。